こんにちは、しろいるかです
2023年3月、新潟と長野を巡る旅をしてきました。
旅の全行程
本記事は太字部分が対象です。
【一日目】
越後湯沢駅~小嶋屋総本店~越後妻有里山現代美術館(MonET)~松之山温泉~湯治BAR
宿泊:ひなの宿 ちとせ
【二日目】
最後の教室~道の駅野沢温泉~野沢温泉街散策
宿泊:村のホテル 住吉屋
【四日目】
魚沼の里~越後湯沢駅
- 旅の全行程
- 越後湯沢駅
- 小嶋屋総本店
- 越後妻有里山現代美術館 MonET(モネ)
- 松之山温泉 ひなの宿 ちとせ
- 客室:和室12.5畳
- 月見の湯
- 夕食
- 湯治BAR
- 大浴場(ほんやらの湯)と貸切風呂
- 朝食
- 松之山温泉街とブラックシンボル
- ひなの宿ちとせの感想
- 最後の教室
越後湯沢駅
今回は新潟県の越後妻有地域と長野県の野沢温泉を巡る二泊三日の旅。実は野沢温泉って越後湯沢駅から車で1時間ちょっとで行けちゃうんですね。
東京駅から新幹線で越後湯沢までわずか1時間ちょっとなので気軽な旅です。
まずは越後湯沢で車を借りて、十日町の方に向かいます。
小嶋屋総本店
新潟名物は色々ありますが、へぎそばを一度食べてみたかったので、有名なお店だというこちらのお店へ。新潟県内に支店を何店舗も展開しているのですが、その総本店です。
建物は大きく、駐車場もとても広いです。ロードサイドの店舗のような感じですね。
既に3月下旬でしたが一面雪景色。さすが日本有数の豪雪地帯です。
春どこいった
店内もめっちゃきれい。老舗のそば屋と聞いてイメージする感じとは真逆でした笑
春なので山菜天ぷらとへぎそばを頼みました。
特徴的なのは、つなぎに布海苔(ふのり)という海藻が使われていて、ややもっちりとした食感と海藻の風味を楽しむことができました。これは美味しいですね!
お店もとても入りやすいし、良いお店でした。
越後妻有里山現代美術館 MonET(モネ)
さて、続いて訪れたのはこちらの美術館。
十日町も属するこの越後妻有というエリアでは大地の芸術祭というトリエンナーレ(3年に一度の国際芸術祭)が開かれています。
訪れた時は開催期間外で、さらに冬の時期は見られる展示も限られているのですが、それでも芸術祭のメイン会場となるこの美術館と、いくつかの常設展示は見ることができました。
現代芸術は少し取っ付きにくいイメージで、今まで積極的に見に行くことはなかったのですが、直島で数々の作品を見て以来、全身の感覚を刺激するようなインスタレーションの楽しさに惹かれるようになりました。
現代アートに懐疑的だったけど直島と豊島がめっちゃ楽しかった
美術館以外にも道の駅が併設されていたりして、色々楽しめる施設です。2021年にリニューアルオープンしたばかりなので全体的に綺麗でした。
真ん中に作品が。光を反射するガラス版のようなものが吊るされていて目を引きます。この作品も時期によって色々と入れ替わるみたいですね。
建物は有料のエリア。二階部分がまるごと作品展示に使われています。
ここから印象に残った作品をいくつか挙げていきます。
現代芸術の紹介ってややネタバレ的なところもありますが、写真だけでは全然作品の魅力を伝えきれないし、他の方の紹介を事前に見ていたりしていても実際に見ると新鮮な驚きがあるので楽しいですね。
現地で見てこそ
movements
鳥たちが大群をして羽ばたいているように見えますが…
近づくと、時計のムーブメントなんですね。しかも一つ一つちゃんと動いてます。刻一刻と動く秒針に外の光が反射してキラキラと綺麗です。
吊るされた布がおばけのようにフワフワ動くのが面白いです。
16本のロープ
がらくたに、何気ない会話のメモがくっついてます。なぜか生活の情景が浮かんでくる不思議なものですね。
Force
粘度の高い黒い液体が上から下へと流れ落ちています。音も無く静かで、一見すると糸が垂れ下がっているようにも見えますが、よくよく見ると液体であることがわかり、ずっと見ていたくなる作品です。
下に溜まった池に落ちるところも見ているとなんだか病みつきになります。
LOST ♯6
真っ暗な部屋の中、仄かな光源となる模型電車がレールをゆっくり走り、それによって周囲のモノからできた影絵が動きます。まるで車窓からの景色みたいです。
おかれているモノは十日町で使われていた織物機具の一部や農機具などだそうで、ほんのりした光と相まってなんだかノスタルジックな気分になります。こちらもずっと眺めていたくなる作品。
遠方の声
見る角度によって絵が動くように作られていて面白いです。何度も往復して見ちゃいます。
こちらの美術館はそこまで広い施設ではなく、普通に周っても1時間ちょっとぐらいで周りきれると思うのですが、短い時間で凄く濃い体験ができました。
見るのにそれほど時間もかからないしオススメ
きっと好きな作品が一つは見つかるはず
松之山温泉 ひなの宿 ちとせ
今日は松之山温泉にある宿に泊まります。
松之山温泉は有馬温泉、草津温泉に並んで三大薬湯と言われる温泉地だそうで、正直有馬・草津の知名度と比べるとどうなの…?という感じではあったのですが、お湯の良さは折り紙付きで、有馬や草津とはまた違う素晴らしいお湯でした。
ただ惜しむらくは他の2つの温泉地と比べると温泉街が発達しているわけではなく、あくまで山間の静かな温泉地なので、街歩きを楽しむ場所としては不向きかもしれません。
有馬と草津の記録
三美人の湯 とかもあったね
見返したら外観の写真をあまり撮っていなかった。
出典:松之山温泉ドットコム
四階建ての旅館です。総客室数は27室と、中規模旅館という感じでしょうか。
フロント周辺とお土産物屋さん。
奥にラウンジがありました。暖炉があって良いですね!
客室:和室12.5畳
一番下の客室(和室10畳)で予約していたのですが、アップグレードしてくれたみたいです。ありがたい!
手前に和室と、奥には掘りごたつのついた小さな和室があります。広々していて過ごしやすい感じです。
お布団は最初から敷いてありました。
山間の温泉地なので眺望は…あまり期待できないですね笑
お部屋においてあったやや大きめの笹団子が美味しかった!
新潟県に行ったらつい笹団子買って帰っちゃうんですよね。
月見の湯
お部屋が、この月見の湯からとても近くて良かった。
月見の湯は男女入れ替え式の露天風呂で、実質的にここのシグネチャー風呂(と呼べばいいんでしょうか)のようなものです。
到着日の18時半までは男性専用、それ以降は翌日も含めずっと女性専用なので、露天風呂好きの男性には少し残念かも。
扉を開けて渡り廊下を進むと…
湯治場のような雰囲気の良い感じの場所です。建物と山の斜面に囲まれて眺望はないのですが、圧迫感はあまり感じません。
手前があつゆ、奥がぬるゆです。ちなみにあつゆは熱すぎてまず入れない笑
ぬるゆも一般的にはかなり熱めの部類なので、水で埋めるためのホースは用意されてますが、あまり薄めたくないので頑張ってそのまま入ります…!
お湯はほんのり薄濁りした感じで見た目はそこまで特徴的ではないのですが、なにより凄いのがお湯の香り。
薬湯と呼ぶにふさわしい、薬とゴムがまじりあったような…なんとも科学的な匂いです。色々な温泉に入ってきましたが、これは初めての体験。
松之山温泉は湧出温度も非常に高く、湧出量も多いことから多くの宿で源泉かけ流しが実現できています。入っているとお湯のパワーが感じられますね。
陽が沈んだあとも雰囲気良かったです。
というかここのお風呂めっちゃ良いのになぜか全然人が来ない…。男性時間もほとんど独占だったそうで、皆どこに行ってるんだろう…。
めっちゃいいお湯を堪能した
温泉好きなら一度は入りたいね
夕食
こちらのお宿、すべて個室の松之山郷と、レストラン的なつくりの里わという二つのお食事処がホームページに乗っていたので、里わの方なのかなーと勝手に思っていたら、残念ながら大広間でのお食事でした。まぁ一番安いプランなので致し方ないですね。
御食事のメニューはすごくワクワクするものばかり。聞いたことない食材や、地元の名物っぽいものが並びます。
まず最初に出てきたのは昔、この地方で食べられていた料理を旅館料理として復活させたものだそう。素朴なお味で美味しい。
木の樹液を煮詰めたものが食前酒の代わりに出されました。初めて飲みましたが樹液ってこんな甘いんですね。
山の中ですが意外にも新鮮なお刺身たち。漬けてあったりと工夫してます。
鯉こく。こちらも初めて食べましたが、この地方では食べられるものだそうです。濃い味噌味のあら汁みたいな感じでしょうか。臭みも無く普通に美味しくてびっくり。
若竹の子のみそ焼き。春っぽい。
湯治豚という、低温調理されたローストポークのようなもの。温泉熱のみを使われているそうです。かんずりという唐辛子を発酵させた調味料がソースに使われています。こちらも初めての体験。
山菜たっぷりのけんちん。料理おいしいなー。
最後は棚田鍋というこちらの名物料理だそうな。
大根おろしの入ったみぞれ鍋に、カリカリのおこげを入れていただきます。こちらのお鍋、出汁がとにかく今まで食べたことのない不思議な味で、ほんのり甘さのあるような、とても癖になるのです。表現しきれないのが悔しい。
これはさすが名物料理ですね。また食べたいです。
デザートもおいしい白いちごとババロアなど。
ここ、地元の食材や料理を食べられる、というだけじゃなくて純粋に美味しいです。大広間だったのがとにかく惜しい…!
また今度泊まりに来て、個室でゆっくりいただきたいですね。
美味しさと郷土料理感の両立って難しいよね
両立している…!
湯治BAR
御食事の時にはお酒を飲む雰囲気ではなかったので、ちょうど宿の前にある湯治BARというお店へ。
同じ旅館の経営みたいで、割引券ももらってました。
店内はテーブル席がひとつと、カウンター席が10席もないぐらいの小さなお店です。
シェリー酒が置いてあるのが珍しい。なんでも大地の芸術祭でスペインの芸術家の方が来られたことがきっかけに扱われるようになったみたいです。
折角なのでシェリー酒と、クロモジが使われたジンのソーダをいただきました。
またもカリカリのおこげのおつまみと一緒に。
こういった気軽にいけるバーみたいなのがある旅館って良いですね。夜も楽しく過ごせました。
大浴場(ほんやらの湯)と貸切風呂
お風呂場の手前にはアイスキャンデーと、温泉でしっかり固ゆでしたという湯治卵が置いてました。お風呂に入った後に湯治卵に塩を振って食べたらめっちゃ良かった。
大浴場は男女別になっていて24時まで入れます。
意外に人が入れ代わり立ち代わりだったので写真は撮っていません。月見の湯には洗い場がないからみんなこっちに来るのかな…?
こちらも露天風呂はかけ流しにはなっていましたが、お湯の新鮮さは月見の湯が上でした。景色が良いというわけでもないので、月見の湯がとにかくオススメです。
ラウンジの奥には貸切風呂があって、こちらは深夜は自由に入ることができます。深夜以外は一回だけ無料で入れました。
こっちは家族風呂のようなサイズ感。窓を開けると半露天で楽しめますが眺望はありません。深夜に静かに入るにはピッタリで良かったです。
朝食
朝食も夜と同じ大広間で。
夜ご飯の美味しさで朝も期待でしたが、期待を裏切らない美味しさでした。
このご飯のお供達が心強い。
お鍋もあって、朝からお腹いっぱいです。朝も手を抜いてないお料理でした。
松之山温泉街とブラックシンボル
温泉街というほどではないですが、宿の向かい側にお土産物屋さんが2軒並んでいて、そちらを物色しつつ、温泉街のはずれの方にあるブラックシンボルという芸術作品を観に行きます。
源泉小屋から出る薬湯の匂いを感じながら先に進むと、奥にそびえる黒いモノが…
牛だー!!
これだけですが、温泉街を見守っているみたいでなんかいいですね。
ひなの宿ちとせの感想
お湯は三大薬湯の名に偽りなし、今までにない特徴的で強力なお湯でとても魅力的です。
お料理もとても凝っていて、郷土料理が食べられる、だけではなく美味しい料理が食べられる旅館でした。
館内も全体的に綺麗だし、とても良いお宿です。真冬の雪に閉ざされたような時期にまた来てゆっくりしてみたいですね。
最後の教室
さて、宿をチェックアウト後、松之山温泉の近くにある大地の芸術祭の常設展示作品のひとつ、最後の教室へ。松之山温泉からは車で10分ほどで到着です。
こちらが芸術祭の代表的な作品みたいですね。
廃校になった小学校をまるごと使った作品になっています。
ここはもと体育館でしょうか。
現金しか使えないので注意が必要です。
黒くて分厚いカーテンをかき分けて中へ。
中はほとんど光が無く、ぼんやりと見える無数の光を見ながら先に進みます。真っ暗闇と、床に敷き詰められた干し草の匂いで一気に作品の世界に入り込まされます。廃校ということもあってちょっと怖さも感じます。
その先には廊下の先から見える光に向かって進みます。ここがほんとすごい。光の前にプロペラが動いていて、回転灯のように光と影がダイナミックに動きます。
人がいない状態もいいですが、人がいても映える。作品のひとつのようにも見えます。
探せば動画も出てきますが現地だからこそ感じられる空気感には凄みがあります。先に進むのが怖い、けど進んでしまう…みたいな。
恐怖心と好奇心が入り乱れるような感覚です。光だけでなく、この先から謎の重低音も聞こえてくるんですよね。
この先は自分の眼で確かめてみてほしい
このためだけに新潟に来る価値がありました。管理も大変でしょうし人もそんな来ないと思いますが、採算なんて絶対度外視です。
これら作品はクリスチャン・ボルタンスキーという人が制作したもの。
豊島でも鑑賞したのですが、要素的には非常に似ています。どちらかの作品が琴線に触れたなら、もう片方もきっとはまると思います。
豊島にある「心臓音のアーカイブ」
建物出てきたら強烈な日差しにまるで生き返ったような感覚を覚えました。「死と生」がテーマ性のひとつみたいですが、それを感じ取ることができた気がします。
温泉と美味しいごはんとアートで五感が研ぎ澄まされた
雪のない時期には見られる常設作品がたくさんあるから他の作品も観に行きたいね
次は隣県の長野にある野沢温泉へ向かいます。