こんにちは、しろいるかです
2023年10月、北東北3県へ旅行に行きました。
旅の全行程
本記事は太字部分が対象です。
【一日目】
八戸駅~八食センター
宿泊:ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート
【二日目】
八幡平~十和田湖畔
宿泊:十和田ホテル
【三日目】
奥入瀬渓流散策~十和田バラ焼き
宿泊:恐山宿坊 吉祥閣
【三日目】
恐山散策~大間のまぐろ
一日目の記事
下北半島へ
青森県は面積で言うと全国8位の県。その独特の形状も相まってかなり広さを感じます。
特に、恐山のある下北半島へ行こうとすると空路は無いですし、鉄道も下北半島の入口であるむつ市までしか伸びておらず、高速道路も2024年1月現在、未整備区間がかなり多い状況です。
函館や津軽半島側からフェリーがあるので、それを使うという手もありそうです。
出典:むつ湾フェリー株式会社
東京から陸路で行くのであれば、東北新幹線の八戸、もしくは七戸十和田で降りて、そこからレンタカーが最短になりそうかな。私たちは今回の旅、八戸を拠点として十和田湖等を周遊ののち、下北半島を目指しました。
道の駅よこはま 菜の花プラザ
陸路で下北半島を目指す場合、ほぼ間違いなくここを通ることになる道の駅です。
道の駅の周りには菜の花畑があるという、どこか落ち着く道の駅です。
菜の花ソフトと菜の花ドーナツが美味しかった!ドライブ休憩におすすめです。
こういうのでいいんだよ、的な道の駅
恐山菩提寺
恐山は下北半島の中でもアクセスは割としやすい場所にあり、八戸から2時間ほどで到着できました。
ちなみに冬季閉山なので注意が必要です。開山時期は5月から10月末までという短い期間で、冬はとても厳しい環境なのだということが想像つきますね…。
訪れたのは10月上旬。ほんのり紅葉が始まったような状態です。
むつ市から山道を30分弱走り、随分標高もあがり山の中に入って来たな、というところでいきなり開け、この湖が目に飛び込んできます。
そして、湖のほとりに佇む集落。これが恐山の全体像です。
広い駐車場に車を停め、まずは中へ。
今回は恐山に唯一ある宿坊に泊まりますが、入山料は必要です。
恐山と言えばイタコの口寄せ。実は恐山の組織とは一切関係のないイタコなのですが、例大祭の時期になるとこの写真の左側の赤い屋根の建物の周辺にいらっしゃるようです。
口寄せを受ける行列ができており、何時間もかかるようなので宿坊に泊まって早朝に…というやり方もあるのかもしれません。
今回訪れたのはたまたまですが例大祭の時期。口寄せを目的にいらっしゃっている方も宿坊に泊まられていました。
イタコさんは大祭の時期以外はあまりいないみたい
最近は高齢化でイタコさんの数も減ってきているんだって
この両側に建てられたのぼりと立派な山門。境内に入るとやはり雰囲気が一変します。
この恐山の特徴として、なんと境内に湯小屋があることでしょうか。宿泊していなくても、入山した参拝客であればだれでも利用できるというところが驚きです。
写真の2か所ある湯小屋はどちらも女性用の冷抜の湯・古滝の湯。
参道の脇にあるような場所なのですが、女性用の湯小屋は一目でわかるようにゾーンが区切られている感じなので、間違って男性が入ってくるようなことは無さそうです。
入浴はまた後にして、まずは参拝を。山門の先に本殿があります。
この背後にそびえる山と参道の脇を固める石灯籠…。なんとも雰囲気があります。
本殿から後ろを振り返ったところ。
夕方の恐山
実は恐山は本堂ではなく、その裏に広がるこのエリアこそがメインかもしれません。
至る所から噴煙のあがる、いわゆる地獄谷のような大地に砂利が盛られた小山がつくられています。
そして、そこにたてられた風車が、風によってカラカラと物悲しい音を立てるんですね…。
ここは霊感とかスピリチュアルとか、そういう言葉では言い表せない、彼岸と此岸を繋ぐような場所だと感じました。
風車の音や、お線香や硫黄の混じったにおい…。
五感を刺激する風景だった
振り返ると後ろには本堂、そしてさらに奥の大きい建物は宿坊です。
このエリアをさらに進んでいくと、小高い丘の上にお堂があり、さらにその奥には湖が見えます。この湖は駐車場から見えていたものと同じでしょうか。
お堂にはひときわ多い風車がたてられています。
湖に近づくにつれ、温泉が湧いている場所もちらほら見えます。
そして、湖に着くと…。
これまでの地獄のような荒涼とした光景から一変し、白い砂浜とその奥に穏やかな湖。本堂からここまで歩いて10分もかからない距離ですが、この短い間に地獄と天国が混在しているようです。
事実ここは極楽浜と呼ぶそうです。
これは極楽…
ちょうど夕焼けの時間だったのですが、あまりに美しさに立ち尽くしました。。
不思議と風も、ここではなかったです。
少し草の生えている場所もありました。
かと思えば、おびただしい数の噴煙があがる場所があったり。不思議な光景です。
恐山が古くから霊場として信仰されてきた理由がよくわかります。
赤く染まる空を背に、本堂へと戻りました。
恐山宿坊 吉祥閣
今日は恐山の宿坊に泊まらせていただきます。
恐山に宿坊はこの吉祥閣ひとつだけ、オンライン予約はできず、ホームページから電話予約します。
宿坊は本堂の隣にあり、近年立派に建て替えられたようで、驚くほど綺麗です。普通に高級旅館のたたずまいです。
館内撮影禁止とのことで、限られた場所のみの写真です。お部屋はシンプルな和室ですがとても広く快適に過ごせました。
空気中の硫黄濃度が非常に濃いようで、電化製品は数か月で壊れてしまうとのこと。なんとここで生活しているとスマホも1年持たないそうです。すごい…。
住むにはやっぱり大変な環境なんだね
夕食は全員が食堂に集まっていただきます。どれもとても丁寧に作られた精進料理で美味しかったです。ボリュームもたっぷりです。
食事前と食事後に全体で合掌する儀式的なものがあり、とても宿坊らしさがありました。
木製のお箸は部屋に持ち帰り、朝食でも使ったのち記念に持ち帰ることができました。
宿泊者には、夜に本堂で説法をいただくことができます。
本堂はこの通路の奥です。
この時は秋の大祭の時期だったからか、院代(会社で言えば副社長のようなポジション?)である南直哉さんがお話してくださいました。
多くの著書をお持ちの方で、場所柄か死生観についてのお話でした。
あつく信仰をしているわけではない私たちに対しても、とてもわかりやすく、それでいて惹きこまれ、考えさせられ、そして救いが得られる。
そんなお話のされ方で、あっという間の1時間でした。
宿坊のお部屋に著書も置いてあって、お部屋に帰って読んでみたよ
早朝の恐山
宿泊者は早朝に開催されるお勤めに参加することができます。まだ外も真っ暗な中でのお勤めを終えて、少し明るくなってきた恐山を散歩してみます。
霧に包まれた恐山。寒暖差が大きいからか、ここまでたくさん霧が発生して真っ白になるんですね。
霧の合間から朝日が見えています。なんだかこの世ではないような、フワフワとした感覚に包まれます。
本堂を抜けて、極楽浜の方へ行ってみることに。
地獄谷のような場所も深い霧に包まれており、現世ではないようです…。
昨日の夕方とは全く違う光景。観光客もいないので静寂に包まれています。
霧がだいぶ晴れてきました。
極楽浜の方まで来ると、一気に視界が開けます。湖の奥の山のてっぺんだけ見える!
いやほんと、凄い光景です…。
昨日の夕方とはまた違う絶景
霧は瞬く間に晴れていって、宿坊に戻るころには完全になくなっていました。
宿坊で朝ごはんです。朝もとても美味しいくいただくことができました。
恐山温泉
霊場としての恐山は言わずもがなですが、実はとても良質な温泉が湧いていることも魅力のひとつ。
夜の説法の中で、「恐山が秘湯としての魅力が高く、そういった切り口での取材依頼が来ることも多いが、それはさすがにお断りしている。」という話を聞いたうえで、今回紹介するのは少々気が引けるのですが、めっちゃいいお湯です。
記事の最初の方で女性のお風呂2か所を紹介しましたが、男性用のお風呂(薬師の湯)は参道の真横にポツンとあります笑
男性用も女性用もつくりは同じ。硫黄の匂いが充満する木造の小屋の中に、薄く緑がかった濁り湯がかけ流される浴槽が2つ。奥があつ湯、手前がぬる湯です。
加温循環は一切なく、加水もなしとのこと。純度100%の源泉かけ流しですね。
かけ流されるお湯の量もかなり多く、ドバドバです。それでいて激熱かというとそこまででもない。めちゃくちゃ気持ちいいです。
もう一つ、こちらの花染の湯は、実は宿泊客でなくても入ることができるのですが、参道に面しておらず、宿坊の裏手にあるため一見するとわかりにくいです。
これまた夜の説法の中で院代の方が小ネタで仰っていたのですが、どの湯小屋も源泉が異なるが、ここが一番泉質が良い、とのこと。
この雰囲気ある湯小屋、最高ですね…。周りも静かで落ち着けるのもポイント。
実際のところ、確かに参道沿いの湯小屋よりも泉質良いです。源泉の温度が他と比べて適温なのか、40度ぐらいの適温なうえ、かけ流されるお湯の量も他よりさらに多い。
参道沿いの湯小屋でもお湯の鮮度は十分高いのですが、ここの方がさらに一回り上といった感じです。
ほんとうに惜しむらくは、ここが常に混浴ということでしょうか…。女性が入るには深夜、もしくは早朝ぐらいしかタイミングがなさそうです。
なお、先ほどの参道沿いの湯小屋と合わせて、24時間いつでも入ることができます。
最後に、こちらは宿泊者専用の宿坊の大浴場です。
こちらも内湯だけですが、男女ともにとても広く、清潔な大浴場が用意されています。
さすがに泉質は湯小屋には負けるものの、かけ流しのお湯にゆったり入ることができます。洗い場があるのもここだけ。ただこちらは夜間は入ることができません。
景色の良い露天風呂があるわけではないですが、風情ある湯小屋で驚くほど良い泉質の硫黄泉を味わうことができる恐山。
泊まる場所が宿坊と言ってもテレビがない、食事時間が決まっていること以外はほぼ温泉旅館と変わらないですし、これは秘湯として取材したくなる気持ちがわかります。。
温泉最高!
また泊りに来て、一晩中入っていたいな…
昼の恐山
最後に、日中の恐山も散策してみます。
時間帯によって異なる顔を見せる恐山、日中もまた素晴らしい光景です。
この極楽浜がもっとも極楽らしいのが日中ではないでしょうか。
湖の水に温泉が入っているのか、エメラルドブルーに輝いています。
これはもう天国かと…。
山全体を包む独特の雰囲気、光景、そして温泉…。恐山は言葉では言い表せないほど素晴らしい場所でした。またいつか訪れたい。
そうそう、忘れてはならないのが太鼓橋。菩提寺のだいぶ手前、ちょうど山道を通って湖にたどり着いた場所のあたりにある、この世とあの世を繋ぐ橋と言われているそうです。恐山の入口にあたる考えればよいのかな。
今は改修中で渡ることはできないのですが、湖の水がとくにこの辺り綺麗です。
この景色も見納め。これから大間に向かいます。
むつ湾展望台
途中、折角山の上まで登ってきているので、むつ湾展望台に寄りました。
むつ湾の夜景は蝶が羽を広げたような景色になるそうで、夜のアゲハチョウとも言われるそうです。
大間 浜寿司
恐山からさらに車で1時間ちょっと。下北半島の北にある本州最北端の町、大間にたどり着きました。
湾の中はとてもおだやか。マグロが獲れる津軽海峡の荒波のイメージとは違ってびっくり。
停泊している漁船はみなマグロ漁船なのかな。一本釣りが中心のようなので、漁船も大きくないですね。
秋はちょうどまぐろシーズンですが、お昼どきなので完全にお休みモードです。
大間にはまぐろを出すお店が何軒かあるのですが、その中でも評判のお店、浜寿司さんへ行ってみることにしました。
シーズンだから美味しいだろうなぁ。
店内はカウンター席と小上がり、あと奥にテーブル席とかもあって意外と広いみたい。
ピンク色でうっすらと透き通る身が綺麗な本マグロ丼。
さすがにまぐろばっかりだったら飽きるかな…と思いもう一つは海鮮丼にして、二人でシェアしました。
期待通りおいしいまぐろが食べられて大満足です!
新鮮なまぐろだった
本州最北端 大間崎
先ほどの浜寿司は港周辺なのですが、港から車で5分ほどの距離にあるのが本州最北端の地、大間崎です。
港周辺は観光地感はありませんが、ここは少し観光地っぽくなってます。
干物を狙うにゃんこも発見。
迫力あるモニュメント!
灯台の先にあるのは、なんと北海道は函館!
大間は函館から直通フェリーが出ており、1時間半で来ることができるのです。
この最果て感。
何がある、というわけではないんですが、やっぱり最北端とか、そういうのはロマンがありますね。
恐山に大間、下北半島は遠いけどいいとこだった
とくに恐山、ここはまた行きたい場所だったなぁ
秘湯をめぐる記事